『「死にたい」「消えたい」と思ったことがあるあなたへ』 読んでみた感想
先日、図書館に行ったら、「自殺を防ごう」といったテーマの特集が組まれていました。
私は、「死にたい」と何度も思ったことのあるタイプの人間です。まだ死のうとしたことはなく(自分の過失で危ない目にあったことはありますが)、今この瞬間は死にたいとは思っていませんけれど。
夜にどうしようもないほど巻き起こるかと思えば、朝には忘れている、かと思えば学校で授業中包まれることもある、いいことがあるとまたすっと消える・・・そんなつかみどころのない「死にたい」のこと、文章にできるほど直視したことはありませんでした。
表向きは「14歳の世渡り術」シリーズ(河出書房新社)の中学生あたりが対象の本ではありますが、
たいがいは「死ぬな、生きろ」や「~の守り方、対処法」といった感じのタイトルの中、手紙の宛先のようなタイトルをしていること、
まためくってみると有名人を含めた様々なひとが書いていること、
あと、表紙の目線に押されて私はこの本を借りて読むことにしたのでした。
さて、ここから私の読後感を書いていこうかと思います。
読後感
共感できることが多いです。
決して「自殺は悪だ」「命を大切に」「残される周りの人の気持ちを考えて」「甘えるな、今耐えればなんとかなるだろう」なんて、よく言われる文句を一方的に押し付けない。
「死にたいと思ってはダメ?」
「理由もなく不安になってはダメ?」
「自分を好きにならなくてはダメ?」
「他人とうまくやらなくちゃダメ?」
「家族だから大切にしなくちゃダメ?」
「現実から逃げたらダメ?」
本書『「死にたい」「消えたい」と思ったことがあるあなたへ』の目次から引用
「学校に行かなくてはダメ?」
「孤独ではダメなのか?」
「相談しないとダメ?」
そんな、なかなか家族や友達に訊けないような、あるいは分かってはいても頭の中でなかなか言葉にならないこともあるような疑問へ、
死にたい心へ、さまざまな角度からの答えが書かれている。
書いているのは、「死にたい」と思ったことがあるアーティストや作家の方、
数々の「死にたい」や自傷行為と向き合ってきた精神科の先生、
ソーシャルワーカーさん、東京自殺防止センターの電話相談員さん、
写真家さん、女優さん、YouTuberさん、漫画家さんなど、
多種多様な方々です。
そのなかには、なんとBONDプロジェクトの橘ジュンさん、「おしゅしだよ」のやばいちゃん、BiSHのモモコグミカンパニーさん、KOHHさん、整形アイドル轟ちゃん、春名風花さん、「夫のちんぽが入らない」のこだまさん、はてなブログの人気記事を書いておられるphaさんもいます!(豪華!)
ご自身の経験をもとに苦しさを理解し寄り添ったスタンスでのメッセージや、苦しむ人を見てきた経験からのちょっとでも楽になるためのアドバイス、心が軽くなるメッセージやマンガが数々あり、その中にきっと読む人それぞれをを救うものがあるでしょう。
私が特に感銘を受けたのは、
磯野真穂さん(文化人類学者)の「自分の体は誰のもの?」
松本俊彦さん(精神科医)の「愚痴は生き延びるための技術だ」
春名風花さん(女優・声優)の「「つらいのは今だけだよ」なんて言わないけれど」
小野ほりでいさん(ライター)の「不安とは他者である」
水島広子さん(精神科医)の「「自分を好きになろう!」という暴力」
やばいちゃん(漫画家・イラストレーター)の「他人はほっとくぐらいがちょうどいい」
モモコグミカンパニーさんの「心の傷がキレイな模様になるまで」
です。
「死にたい」「消えたい」と思う重々しい感情を思い出して重ね合わせながら読んでも、その後思わず心が軽くなる本です。
個人的には、おすすめできますし、中学校や高校の図書館に置いた方がいい本だと思います。
購入できるリンク、貼り付けておきます。よかったらどうぞ!
www.kawade.co.jp最後まで、お読みいただきありがとうございました。